AZの燃料添加剤「FCR-062」は、YouTubeでは絶賛され、掲示板では「燃料添加剤なんてプラシーボ」と一蹴される。どちらも極端で、筆者が3年入れ続けた結果は、そのどちらでもなかった。
私は原付(ホンダ・タクト)に納車以来3年・約20,000km、CB250Rに3年・16,000km、給油のたびにFCR-062を入れている。原付のほうは給油83回・約2万kmの燃費記録が全部残っているので、「効いたか」を体感ではなく数字で書ける。
【結論】燃費は上がらない。買う理由は「カーボン噛みの保険」
| 項目 | 3年入れ続けた結果 |
|---|---|
| 燃費 | 上がっていない。ピークの2023年から2025年で約7%低下(57.1→52.9km/L) |
| カタログ燃費の達成率 | 全83回の平均で約94%(54.63km/L・WMTC 58.4km/L) |
| 始動性 | 冬の早朝でもセル一発。3年で不動は一度も無い |
| エンジントラブル | 原付20,000km・CB250R 16,000kmとも無し |
| 1回あたりの費用 | 原付の給油4Lで約38円、CB250Rの満タン10Lで約96円(1L 3,190円・公式価格で計算) |
「入れたら燃費が良くなる」は、筆者のデータでは起きていない。走行距離が1万kmを超えたあたりから燃費は素直に下がっていて、添加剤はそれを止めていない。
それでも入れ続けているのは、原付の持病「カーボン噛み」を、1回40円で避けられるなら安いからだ。効果の証明は「何かが良くなった」ではなく「何も起きなかった」である。この記事はその中身を書く。
【何を防ぐのか】50ccの持病、カーボン噛み
4ストロークの原付スクーターには、燃焼室に溜まったカーボンがバルブに挟まって圧縮が抜け、エンジンが掛からなくなる「カーボン噛み」という持病がある。原付は交通の流れに乗るために常に高回転で、しかもストップ&ゴーばかりなので、構造的にカーボンが溜まりやすい。
起きると、エンジンを開けてバルブ周りを掃除することになる。工賃は店によるが、原付の車両価格と比べれば無視できない額になる。通学の足が止まるほうが痛い。
FCR-062の主成分はPEA(ポリエーテルアミン)で、燃焼室やバルブに堆積したデポジットを除去する清浄剤である。ワコーズのフューエルワンと同じ系統の成分で、AZ公式は「デポジット除去・酸化劣化防止・防錆」を効果として挙げている。燃費改善も書いてはあるが、筆者のデータでは出ていない。清浄剤としての役割だけを期待するのが正しい。
【データ】燃費は3年で7%落ちた。添加剤はそれを止めていない
原付の給油記録から、年別の平均燃費を抜き出す。全期間FCR-062を入れているので、「入れた/入れない」の比較はできない。できるのは「入れ続けた車両が3年でどう変わったか」だけである。
| 年 | 平均燃費 |
|---|---|
| 2022年 | 56.7 km/L |
| 2023年 | 57.1 km/L |
| 2024年 | 53.8 km/L |
| 2025年 | 52.9 km/L |
| 2026年 | 54.1 km/L |
2025年は12月の3回を足して出し直し、2026年8月までの記録を足した(2026年10月)。題の「給油64回」は、最初に書いたときの2025年11月までの回数である。
ピークの2023年から2025年で約7%落ちている(57.1→52.9km/L)。

なお、給油記録は今、自作の燃費アプリFuelLensで付けている。
1万kmを超えたあたりからはっきり下がり始めた。燃料添加剤を入れ続けても、経年での燃費低下は普通に起きる。これが一次データからの結論だ。2026年は1〜8月で54.1km/Lと、少し戻った。ただ、この間もFCR-062はずっと入れているので、戻ったのも添加剤の効果とは言えない。
「FCR-062で燃費が戻った」という話を読んだら、その人が何kmの車両で、何回給油して比べたのかを見たほうがいい。
一方で、全83回の平均でもカタログ燃費(WMTC 58.4km/L)の約94%は出ている(54.63km/L)。前は各回の燃費をそのまま平均して55.75km/L・約95%と書いていたが、いまは合計の走行距離を合計の給油量で割って出している。
3年目までは、冬でも50km/Lを切ることは稀だった。4年目の冬(2025年12月〜2026年2月)だけは、平均49.6km/Lまで下がった。季節別・年別の全データは燃費記事にある。
「効いていないなら、なぜ入れるのか」と思うだろう。筆者の答えは、燃費のために入れているのではないからだ。
【起きなかったこと】3年でエンジンに起きたトラブルはゼロ
原付は20,000km、CB250Rは16,000km。この間に起きたエンジン関係のトラブルを挙げると、無い。
- 冬の早朝でもセル一発で掛かる
- アイドリングは納車時と変わらない
- カーボン噛みの症状(掛かりが悪い・圧縮抜けの音)は一度も出ていない
これがFCR-062のおかげかどうかは、正直に言えば分からない。入れなかった同じ車両が無いからだ。ただ、「常に高回転で通学に使われる50ccが、3年2万kmで一度も止まらなかった」という事実に対して、掛けたコストは3年で2,000円ちょっとである。保険としては十分に安い。
CB250Rは3年16,000kmの総括に書いたとおりで、こちらも同じ感想だった。
【添加量】バイクは5Lに15mL。1Lボトルは3年で使い切れない
添加量は燃料の0.3%、5Lごとに15mLが目安(AZ公式の計算ツール)。バイクのタンクは車より小さいので、実際の量はこうなる。
| 車両 | 1回の給油量 | 添加量 | 1回の費用(1L 3,190円) |
|---|---|---|---|
| 原付(タクト) | 約4L | 12mL | 約38円 |
| CB250R | 満タン10L | 30mL | 約96円 |
| 新型CB400SF | 満タン15L | 45mL | 約144円 |
原付だけなら、1Lボトルは給油80回ぶん(1,000÷12)。私は原付で4年近くに83回給油していて、使った量はちょうど1本ぶんほどになる(83×12=996mL)。1本を3年では使い切れない。CB250Rと2台で使ってようやく2年で1本のペースである。
1台なら300mLで十分で、1Lは2台以上か、車と兼用する人向けだ。
ワコーズのフューエルワンは「1本を燃料20〜60Lに」という設計で、20L未満のときは1%を超えないように小分けして使う(公式)。車の給油1回ぶんを、原付では5回に分けることになる。バイク、とくに原付で使うなら、mL単位で計量できる大容量のほうが扱いやすい。筆者がAZにした理由は、成分の優劣ではなくここである。
計量の仕方
給油口に直接注ぐと入れすぎる。筆者は栄養ドリンクなどの空き瓶に分けてから入れている。1Lボトルの注ぎ口は太く、直接では12mLは出せない。
あくまで量は目安であるため、多少のズレは問題ない。
入れるタイミング
給油してから入れると混ざりにくいので、先に添加剤を入れてからガソリンを入れる。新車の慣らし中は入れず、初回点検でオイルを替えたあとから始める。新型CB400SFでも同じ順番にするつもりで、納車準備の記事に書いた。
【まとめ】速くも燃費も良くならない。それでも40円で持病を避けられる
- 燃費は3年で7%落ちた。添加剤は経年劣化を止めない
- 原付2万km・CB250R 1.6万kmで、エンジントラブルと始動不良はゼロ
- 費用は原付1回38円、1Lボトルは1台なら3年以上もつ
- バイクで使うなら、mL単位で量れる大容量のFCR-062が扱いやすい
「劇的に変わった」と書く記事は疑ったほうがいい。筆者のデータで言えるのは、入れ続けた3年で悪いことが何も起きなかった、それだけである。それに40円を払うかどうかは、通学の足が止まったときの損害と比べて決めればいい。
オイルのほうは別記事で、タクトのオイル交換と銘柄選びに書いている。
参考文献
- AZ FCR-062 燃料添加剤 1L | エーゼット公式(PEA主成分・1L 3,190円・添加量計算ツール)
- F-1 フューエルワン | 和光ケミカル公式(燃料20〜60Lに1本・20L未満は1%まで)
- 【実燃費】ホンダ タクトの燃費を4年83回・約2万kmの給油記録で出した(年別・季節別の一次データ)







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