「マイクラやパルワールドの鯖を自宅で建てたいが、電気代がどれくらいかかるのか分からない」
自宅サーバーを検討するとき、最後に引っかかるのがここだ。VPSの料金は調べればすぐ出てくるが、 自宅サーバーの電気代は構成によって変わるので、誰も具体的な数字を書いてくれない。
そこで、実際に自宅でゲーム鯖を動かしているマシンの構成から、部品ごとに積み上げて試算した。
先に断っておくと、これは実測ではない。 ワットチェッカーで測った値ではなく、各部品の 一般的な消費電力レンジからの推定である。ただし構成と計算過程はすべて公開するので、 自分の構成に置き換えて計算し直せるようにしてある。
【結論】月1,769円。VPSの半額以下だった
| 項目 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 自宅サーバー(電気代のみ) | 約1,769円 | 約21,228円 |
| XServer GAMEs | 4,301円 | 51,612円 |
| ABLENET VPS L5(16GB・月払い) | 5,872円 | 70,464円 |
| XServer VPS for Game(16GB・12ヶ月契約) | 7,800円 | 93,600円 |
| ConoHa for GAME(16GB・月額上限) | 8,767円 | 105,204円 |
VPS料金は2026年7月時点。自宅サーバーは電気代のみで、ハードウェア代は含まない。
ランニングコストだけを見れば、自宅サーバーの圧勝である。 いちばん安いXServer GAMEsと比べても 月2,532円、年間で3万円以上の差がつく。
ただしこれは「ハードがすでに手元にある場合」の話だ。これから買うなら初期費用の回収を考える必要があるし、 電気代以外に払っているコストもある。順番に見ていく。
【構成】試算に使ったマシン
自宅でマイクラとパルワールドの専用サーバーを動かしている実機の構成がこれだ。
| 部品 | 型番 |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 5 3600(6コア/12スレッド・TDP 65W) |
| メモリ | DDR4 16GB(2枚) |
| ストレージ | M.2 NVMe SSD 500GB |
| GPU | GeForce RTX 3070 Ti |
| OS | Proxmox VE |
構築手順は別記事にまとめてある。
ここで先に触れておきたいのがGPUだ。Ryzen 5 3600 は内蔵グラフィックスを持たないので、 映像出力のためにグラフィックボードが必須になる。サーバー用途ではまったく使わないのに、 挿しておかないと画面が出ない。これが後で効いてくる。
【内訳】部品ごとに積み上げる
各部品のアイドル時の消費電力を積み上げると、こうなる。
| 部品 | アイドル時 |
|---|---|
| CPU(Ryzen 5 3600) | 20〜25W |
| マザーボード/チップセット | 10〜15W |
| DDR4 16GB(2枚) | 3〜5W |
| M.2 NVMe SSD 500GB | 1〜2W |
| ファン類 | 3〜6W |
| GPU(RTX 3070 Ti) | 15〜25W |
| 合計(直流側) | 52〜78W |
これは電源ユニットが各部品へ供給する側の数字だ。実際にコンセントから引かれる電力は、 電源ユニットの変換損失が上乗せされる。80PLUS Gold級でも低負荷時の効率は84%前後まで落ちるので、 壁側では62〜93Wになる。

【状態別】アイドル・鯖稼働・ピーク
サーバーは常に同じ電力を使うわけではない。状態別に見るとこうなる。
| 状態 | 消費電力(壁) |
|---|---|
| アイドル | 62〜93W(中心 約78W) |
| ゲーム鯖稼働(4人程度が接続) | 100〜155W(中心 約128W) |
| ピーク(ワールド生成・バックアップ等の全コア負荷) | 154〜182W(中心 約168W) |
ゲーム鯖は24時間起動しているが、人が接続している時間はごく一部だ。アイドル75%・鯖稼働25%で加重平均すると、24時間平均は72〜109W(中心 約91W)になる。
この91Wを電気代に直したのが、冒頭の月1,769円である。
| 24時間平均 | 月あたり | 27円/kWhでの月額 |
|---|---|---|
| 72W | 51.8 kWh | 1,400円 |
| 91W | 65.5 kWh | 1,769円 |
| 109W | 78.5 kWh | 2,119円 |
【発見】使っていないグラボが、年5,556円を食っていた
積み上げてみて一番驚いたのがこれだ。
サーバー用途で一度も使っていないRTX 3070 Tiが、アイドルしているだけで電源損失込み約24W。 月463円、年間5,556円の電気代を発生させている。 24時間平均91Wのうち、26%がグラボだ。
RTX 3070 Ti に載っているGDDR6Xメモリはアイドル時の消費電力が高いことで知られていて、 何もしていなくても15〜25W前後を持っていく。ゲーム用のハイエンドGPUを積んだPCを そのままサーバーに転用すると、この分を毎月払い続けることになる。
対策は2つある。
- 安価なGPUに載せ替える。 GT 1030クラスならアイドル3〜5W程度なので、約20W削減できる。 年間で4,000円以上浮く計算だ。中古なら3,000円前後で手に入るので、1年かからずに元が取れる
- 内蔵グラフィックス搭載のCPUに替える。 Ryzen 5 5600Gのようなオンボードグラフィックス搭載の APUなら、そもそもGPUが要らない
「余ったゲーミングPCをサーバーにする」というのはよくある発想だが、電気代の観点では ゲーミング構成のまま24時間動かすのは効率が悪い。ここは覚えておいて損はない。
【注意】27円/kWhで計算すると、電気代を安く見積もりすぎる
多くの記事が「1kWhあたり27円」「31円」といった数字で電気代を計算しているが、 この単価だけで計算すると実際の請求額より安く出る。
電力会社の請求は、電力量料金のほかに以下が kWh 単位で乗るからだ。
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金) — 全世帯一律。毎年5月に単価が改定される
- 燃料費調整額 — 燃料価格に応じて毎月変動する。プラスにもマイナスにもなる
サーバーを増設して増える1kWhには、これらもすべて上乗せされる。つまり実効単価は 電力量料金の単価より高い。
もうひとつ重要なのが、段階料金のどこで計算するかだ。九州電力の従量電灯Bのように 使用量が増えるほど単価が上がる料金体系では、家庭の既存の消費で下位段階はすでに埋まっている。 そこにサーバーを足すと、増えた分はすべて最上位の単価で課金される。
したがって、自宅サーバーの電気代は「最上位段階の単価+再エネ賦課金+燃料費調整」で 計算するのが正しい。本記事では九州電力 従量電灯B の最上位段階 27円/kWh を使ったが、 賦課金と燃調を含めた実効単価が31円だとすると、月額は2,031円まで上がる。
自分の実効単価は、検針票の「請求金額 ÷ 使用電力量」で一発で出る。
【VPS比較】差額は月2,532円
冒頭の表を、差額で見直す。
| サービス | 月額 | 自宅サーバーとの差額 |
|---|---|---|
| XServer GAMEs | 4,301円 | +2,532円 |
| ABLENET VPS L5 | 5,872円 | +4,103円 |
| XServer VPS for Game | 7,800円 | +6,031円 |
| ConoHa for GAME | 8,767円 | +6,998円 |
差額がいちばん小さいのはXServer GAMEsで月2,532円。ここに電気代以外のコスト(故障・停電・騒音・障害対応)が乗ると考えると、差はさらに縮まる。root権限まで欲しいならABLENET VPSが最安の部類になる。


すでにPCが手元にあるなら、電気代だけで済む自宅サーバーのほうが確実に安い。 これは動かない。
パルワールド向けのVPS各社をプラン内容まで踏み込んで比較した記事もあるので、 VPS側の細かい違いはそちらを見てほしい。
【損益分岐】これから組むなら、元が取れるまで何ヶ月か
問題は「これから自宅サーバーを組む場合」だ。ハードウェア代を、VPSとの差額で何ヶ月かけて 回収できるかを計算した。
| ハード代 | XServer GAMEs比 | ABLENET比 | XServer VPS for Game比 | ConoHa比 |
|---|---|---|---|---|
| 30,000円 | 11.8ヶ月 | 7.3ヶ月 | 5.0ヶ月 | 4.3ヶ月 |
| 50,000円 | 19.7ヶ月 | 12.2ヶ月 | 8.3ヶ月 | 7.1ヶ月 |
| 80,000円 | 31.6ヶ月 | 19.5ヶ月 | 13.3ヶ月 | 11.4ヶ月 |
いちばん安いXServer GAMEsと比べると、5万円のマシンを組んだ場合の回収は約20ヶ月。 1年8ヶ月だ。
ここに、電気代以外のコストが乗る。
- 故障時の部品代: 電源やストレージは消耗品で、壊れたら自分で買って交換する
- 停電でサーバーが落ちる: UPSを入れるなら追加で1〜2万円
- 騒音: 24時間ファンが回る。私は寝室に置いているので、これは実感として大きい
- 障害対応の時間: 私の環境では2ヶ月に1回ほど「落ちてる」と友人から連絡が来る。 外出先ならスマホからSSHで復旧することになる
「20ヶ月以上使い続ける」「トラブル対応を勉強と思える」の両方にYesと言えないなら、VPSのほうが安い。 これが正直なところだ。
自宅サーバー運用の実態(メリットもデメリットも)は別記事に書いた。
【まとめ】どちらを選ぶべきか
自宅サーバーが向いている人
- すでにPCが手元にある(ランニングコストは電気代だけなので圧倒的に安い)
- Linuxやネットワークの勉強を兼ねたい
- 長期間(2年以上)動かし続けるつもりがある
VPSが向いている人
- ハードを持っていない。これから買うなら回収に20ヶ月かかる
- 友人と遊ぶ期間が数ヶ月程度と読める
- 落ちたときに自分で復旧する時間を取りたくない
- 騒音・発熱・停電といった物理的な問題を家に持ち込みたくない
4つ以上当てはまるなら、素直にVPSでいい。いちばん安いのはXServer GAMEsの月4,301円で、これは自宅サーバーの電気代との差が月2,532円しかない。プラン内容の細かい違いはVPS比較記事にまとめてある。

最後にもう一度書いておくと、本記事の数字は実測ではなく部品からの試算である。 自分の環境で正確に知りたいなら、ワットチェッカーを1つ買うのが早い。コンセントに挟むだけで 実際の消費電力が出る。
参考文献









コメント