【早見表】原付は1日何km走れる?50・100・150kmの所要時間【実走レポ】

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「原付で50km走るのって、どれくらいかかるんだろう」 「1日でどこまで行けるんだ?」

原付に乗っていると、一度は考える。私も考えた。そして実際に、片道150km(往復300km超)を50ccの原付で走破した。

結論から言うと、原付はおおよそ1時間で30km進む。そして1日の限界は150kmだ。それ以上は移動ではなく苦行になる。

この記事では、まず距離別の所要時間を早見表で示し、そのうえで「1日にどこまで行けるのか」「長距離を走って車体は壊れないのか」「何を持っていけば死なないのか」に順番に答えていく。最後に、実際に150kmを走ったときの記録も残してある。

【早見表】原付の距離別・所要時間

信号待ち・交通状況・休憩をすべて含めた、実走ベースの目安が以下だ。

距離原付の所要時間車(下道)の目安備考
10km20分15分余裕(通学レベル)
30km1時間45分ちょっとしたツーリング
50km1時間40分1時間15分日常の限界
100km3時間20分2時間30分【壁】お尻が痛みだす
150km5時間3時間45分覚悟が必要
200km6時間40分5時間参考値
300km10時間7時間30分参考値

距離別:所要時間の目安表(休憩込み)。原付は平均30km/h、車(下道)は平均40km/hで計算した目安である。

ざっくり覚えるなら、「車で下道を走った時間の1.3倍」が原付の所要時間だと思っておけばいい。車で1時間の距離なら、原付では1時間20分ほどかかる計算だ。

原付は思ったよりも遅い。焦らず、のんびりと旅路を楽しもう。

【原付ツーリングの限界】1日に何km走れるのか

答えは150kmだ。 これは「走れる距離」ではなく「走ったあとに何かできる距離」である。

単純に走るだけなら、根性次第で200kmでも300kmでも走れてしまう。しかし到着後に用事をこなしたり、その日のうちに帰ってきたりすることまで考えると、片道5時間・距離にして150kmが現実的な限界だ。私は実際に往復300kmを1日でやって、翌日の昼まで泥のように眠ることになった。

青:50km、茶色:100km、マゼンタ:150km

150kmとは、どのくらいの距離か

ピンと来ない人のために、地図で見てみよう。上の図は名古屋を中心に50km・100km・150kmの同心円を描いたものだ。

こうしてみると、最大距離の150kmは名古屋ー大阪間とほぼ同じ距離である。新幹線や飛行機に乗らずとも、名阪間は50ccの原付でギリギリ到達可能だ——5時間かければ、の話だが。

つまり「原付で行ける範囲」は、感覚としては隣の県か、その隣くらいまで。それ以上は電車を使ったほうが幸せになれる。

【壊れる?】原付で50キロ出すと壊れる?長距離を走ると壊れる?

「原付で50キロ出すとエンジンが壊れる」「50km以上走ると壊れる」。どちらもよく聞く不安だ。中身がまったく別の話なので、順番に答えていく。

前提: 原付一種の法定速度は30km/hである

機械の話に入る前に確認しておく。原付一種(50cc)の法定速度は30km/hだ。これを超えて走ることは速度超過にあたる。この記事は違反を勧めるものではない。

そのうえで、「機械としてどうなのか」を書いていく。

速度で壊れるとすれば、原因は回転数と整備状態

そもそも50ccの原付は、車両としては50〜60km/h程度まで出るように作られている(車種による)。つまり50km/hという速度そのものが、エンジンにとって「設計の範囲外」というわけではない。

50ccのエンジンは、速度が上がるほど回転数が上がる。そして壊れる原因になるのは、速度そのものではなく次の2つだ。

  • エンジンオイルの劣化
  • 高回転を長時間続けること

いちばん悪いのは、この2つが重なったときである。オイルが劣化した状態で回し続けると、当然エンジンには厳しい。

逆に言えば、オイル管理さえできていれば常用域で壊れることはまずない。筆者のタクトは20,000kmを走っているが、エンジン起因の不調は一度も出ていない。やっているのは2,000kmごとのオイル交換だけである。

距離では壊れない

距離のほうは、もっと心配しなくていい。筆者は往復300kmを1日で走ったが、車体には何の異常も出ていない。長距離を走る前に見ておくべきなのは、走行距離ではなくこの2つだ。

  • エンジンオイルの残量と劣化。原付は小排気量を高回転で回し続けるため負担が大きい
  • タイヤの空気圧。低いまま長距離を走ると発熱し、燃費も乗り心地も安全性も一気に落ちる

要するに、壊れるかどうかを決めるのは走行距離ではなく整備状態である。オイル交換は自分でもできるので、長距離を走る前にやっておくといい。

なお、長距離を走ると燃費も気になるところだ。私のタクト・ベーシックの実燃費は別記事にまとめている。

なぜ「1時間で30km」に落ち着くのか

誤解のないように書いておくと、これは「ずっと30km/hで走り続けた場合の計算」ではない。

原付は高速道路が使えないため、経路はすべて下道になる。すると、時間を食うのは走っている区間ではなく、止まっている時間だ。

  • 信号待ち: 市街地では体感で移動時間の2〜3割が信号で消える
  • 交通状況: 流れの速い幹線道路では後続車に道を譲る必要があり、そのたびにペースが落ちる
  • 休憩: ずっと走りっぱなしでは集中力が切れる。長距離では休憩を取らないほうが危険だ

これらをすべて含めた「ドアからドアまで」の平均が、実走で1時間あたり約30kmに落ち着いた。実際、往路の150kmは休憩込みで4時間54分だった。冒頭の早見表はこの実測から逆算している。

実際、この記事の記録では往路と復路で大きな差が出た。

往復所要時間休憩平均速度
往路4時間54分3回約31km/h
復路3時間34分0回約42km/h

同じ150kmで1時間20分の差である。走っている区間の速度そのものはほとんど変わらないので、この差はまるごと休憩だ。

つまり「1時間で30km」という数字は、休憩を含んだうえでの平均である。逆に言えば、休憩を削れば速く着くが、それは復路の私のように「雨に追われて一度も止まれなかった」状態を意味する。おすすめはしない。

なお、信号の少ない郊外や深夜帯なら、この表より早く着く。表は「これくらい見ておけば予定を外さない」という安全側の目安として使ってほしい。

【休憩】どれくらいの間隔で止まるべきか

「まだ疲れていないから」といって走り続けるのは自殺行為だ。原付(50cc)は車体が軽く、常に風圧と振動にさらされるため、気づかないうちに体力が削がれている。

安全に目的地に着くための休憩ルールは以下の通りだ。

  • 頻度:最大でも2時間に1回は必ず止まる。冬場や雨天なら1時間に1回がマスト。
  • 場所:24時間営業のコンビニは最強のセーフティエリア。
  • 回復:寒い時期は、とにかく温かい汁物(おでん・カップ麺・ホットコーヒー)を胃に入れる。

「お尻が痛い」と感じた時点ですでに体は悲鳴を上げている。痛みが出る前に休み、集中力を回復させることが生きて帰るための最大のコツだ。

【持ち物】原付で長距離を走るなら、これだけは持っていけ

150kmを走って「これが無いと死ぬ」と思ったものを、優先度順に並べる。それぞれ、なぜ必要だと思ったのかは後半の実走記録の中に書いた。

持ち物なぜ必要か
ハンドルカバー手は最初に死ぬ。深夜の走行風で体感は氷点下になる
ゲルザブ(バイク用座布団)100kmで尻が限界を迎える。あれば疲労は半分以下だった
モバイルバッテリーナビが落ちる=遭難。スマホの電池切れは死を意味する
スマホホルダー原付は振動が大きい。安物だと画面が見られない
バイク用レインウェアコンビニのビニール合羽は走行風でバタついて破ける

上の3つは「無いと苦行になる」もの、下の2つは「無いと危険になる」ものだ。予算が限られているなら、まずハンドルカバーとゲルザブを買ってほしい。この2つがあるかないかで、長距離の体感がまるで変わる。

もうひとつ、持ち物ではないが効いてくるのが通信の安定性だ。ナビが止まるのはバッテリー切れだけではない。筆者は半年間楽天モバイルでツーリングに出て、実際に途切れた場所を記録した。山間部を走る予定があるなら、先に見ておいて損はない。

実際に150km走った記録(往路:深夜の闘い)

ここからは、Googleマップのタイムラインと共に、当時のリアルな心境と状況を振り返る。

なお、道に迷わなかったのはスマホナビのおかげだ。これがないと始まらない。 私が使っているのはKaedear(カエディア)のホルダーだ。ガッチリ固定されて振動にも強く、原付ツーリングの必需品である。

また、現代においてスマホのバッテリーが途中で尽きることは死を意味する。必ずモバイルバッテリーも持っておこう。

時刻場所
11/11 23:24自宅
25分
23:49コンビニ
50分
11/12 0:56コンビニ
25分
1:25コンビニ
2時間18分
4:18ネカフェ

23:24 自宅出発(見通しの甘さ)

Googleマップの予測では「4時間」と出ていた。 「まあ余裕を持って23時に出れば着くだろう」と考えていたが、この時の私は深夜の寒さと暗さを完全に舐めていた。

23:49 1回目の休憩

出発からわずか25分。異変が起きる。 手の感覚がない。

普段の通学(片道30分)なら耐えられる装備だったが、深夜の冷え込みと走行風(ウィンドチル)は想像を絶する。体感温度は氷点下だ。

そこで1回目の休憩をコンビニで取ることにした。

ここで購入したのはホットのカフェオレとおでん(大根・卵)。

イートインスペースはなかったため、リアボックス上でのスタンディングスタイルで頂いた。

冷え切った体にあたたかいカフェオレとおでんが染み渡る。おでんのつゆをたっぷりと注いでくれた店員さんには感謝しかない。

【教訓1:防寒は「やりすぎ」くらいでいい】

 特に「手」は最初に死ぬ。これから走る人は、見た目を気にせずハンドルカバーをつけることを強くおすすめする。あれがあるだけで世界が変わる。

0:56 2回目の休憩

2回目の休憩は日を跨いでからとなった。

50分ほど走行し段々と疲れが蓄積してきたため、休憩を取ることにした。

今回はコンビニの駐車場で先程買ったカフェオレを飲み、体を伸ばしてからすぐに出発した。

1:25 3回目の休憩

先程の小休憩から30分経ち、お腹が空いててきたため休憩を取る。

場所はやはりコンビニである。24時間営業しているコンビニはツーリングの強い味方だ。

ここではシーフードヌードルとホットコーヒーを頂いた。

今度のコンビニはイートインスペースがあったため、椅子に座って食事を堪能できた。

原付のシートは薄い。長時間座っていると、まるで尾てい骨が砕けるような痛みに襲われる。まともな椅子に座れる喜びをこれほど感じたことはなかった。

【教訓2:お尻を守る「ゲルザブ」は神器】

もしタイムマシンがあるなら、出発前の自分にゲルザブ(バイク用座布団)」を渡したい。これがあれば疲労度は半分以下だったはずだ。

4:18 目的地到着

ここからは2時間20分ぶっ通しで走り、無事目的地周辺に到着したが、時刻は4時。イベントまではまだまだ時間がある。

そこでイベント会場の近くにあるネカフェで休むことにした。できるだけお金を節約したかったためテーブル席にしたが、3時間ほど眠ることができた。

実際に150km走った記録(復路:雨と恐怖)

時刻場所
11/12 20:53ららぽーと福岡
3時間34分
11/13 0:27自宅

なんと、復路は一度も休憩を取っていない

というのも、雨予報が出ており、早めに帰宅しなければ雨に降られてしまう恐れがあったのだ(フラグ)。

ちなみに博多駅でラーメンを食べた。

魚介系のスープで、美味しかった(小並感)。

なお、このとき博多駅周辺で人身事故が起こっており、もし電車で来ていた場合は帰宅が不可能だった。結果論ではあるが、原付で来ていたからこそ帰宅できたのである。

ついでにららぽーとで実物大νガンダムを見てきた。

個人的には後ろからのほうが好き。

20:53 出発

ということで21時前にららぽーと福岡を出発した。

帰るまでがツーリングだ。このまま何事もなく帰宅したい。

「雨が降る前に帰り着きたい」という願いも虚しく、事態は悪化する。

深夜0時頃:暗闇の山道と雨

全体の道のりのうち、4/5ほどが過ぎた頃。街灯が一切ない山道を走行しているとき、危惧していた雨が降り出してしまった。

幸いにも上下レインウェアを着ていたため中まで濡れることはなかったが、バックパックにパソコンが入っている。パソコンを濡らさないようリアボックスに入れるために、停車しエンジンを切った。

そのとき、辺り一帯に全く光がなく、本当に心細かった。もしここで事故したら、きっと朝まで誰にも見つけられないだろうという不安感が一気に襲ってきたのだ。

しかし、ここで立ち止まる訳にはいかない。最後の気力を振り絞り、もう一度エンジンを掛け直した。

【教訓3:ロードサービスと任意保険の重要性】
 原付ツーリングにおいて、深夜のエンジントラブルや転倒は文字通り「命取り」になる。もしこの暗闇でバイクが動かなくなっていたら、私はどうなっていたか分からない。 ファミリーバイク特約などで済ませている人も多いと思うが、長距離を走るならロードサービスが付帯するバイク保険(任意保険)に加入しているか、絶対に確認しておいてほしい。手遅れになってからでは遅い。 まだ入っていない人や、今の保険料が適正か分からない人は、出発前に一括見積もりでサクッと比較しておくことを強くおすすめする。

\長距離を走る前に、保険を見直す/

【教訓4:レインウェアと視認性】
 コンビニのビニール合羽では、バイクの走行風でバタついてすぐに破ける。必ずバイク用のレインウェアを用意すべきだ。また、他車からの発見率を上げるために反射材がついたものが望ましい。

0:27 帰宅

なんとか無事に帰ってくることができた。

体が冷え切っていたためすぐに湯船に浸かり、長旅の疲れを癒やした。布団に入るとすぐに眠気が襲ってきて、翌日の昼間まで泥のように眠ったのだった。

まとめ:これから原付で長距離を走る君へ

帰宅直後に友人に送ったLINE

これが帰宅直後の、偽らざる本音だ。改めて要点をまとめておく。

  • 所要時間は1時間あたり30km: 車で下道を走る時間の1.3倍を見ておけばいい
  • 1日の限界距離は150km: これ以上は楽しさより苦痛が勝る
  • 長距離で壊れるかどうかは距離ではなく整備状態で決まる: 出発前にオイルと空気圧を見る
  • 装備はケチるな: ハンドルカバー・ゲルザブ・モバイルバッテリーの3つは最優先。詳細は「持ち物」の章に書いた
  • できれば明るい時間に走れ: 深夜のトラブルはリカバリーが効かない
\長距離を走る前に、保険を見直す/

ちなみに、この原付を4年乗った維持費は年間約34,000円だった。長距離を走るほど効いてくるのはガソリン代で、実燃費55.75km/L・1kmあたり3.01円という数字がそのまま効く。150kmなら片道450円ほどだ。

ひとつ補足しておくと、ここで走った50ccの原付は2025年10月末で生産終了になった。2026年4月からは原付一種の定義そのものが「125cc以下・最高出力4.0kW以下」に変わっている。ただし法定30km/hと二段階右折は据え置きなので、長距離のつらさは新基準原付でも変わらない。

原付ツーリングは、しっかり準備をすれば「冒険」になるが、準備不足だとただの「苦行」になる。この記事が、あなたの無謀な(でもきっと楽しい)挑戦の助けになれば幸いだ。

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